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伊藤雅雄  インバウンド旅行研究家
伊藤雅雄 インバウンド旅行研究家

訪日客のうち免税手続き申請者の消費額は高め


2016年1月27日

インバウンド客のうち、日本で免税手続きをした人たちはやはり買いっぷりが良いようですね。

免税手続きをした人の購入者単価が高い


 免税手続きをした訪日客1人当たりの「免税品の購入総額」は平均で5万円ほど、という統計があります。
 訪日観光客による免税手続きの申請の有無による「購入者単価の違い」を比べたデータがあります。データはショッピングを楽しんだ外国人訪日客へのアンケートを基に作成されました。
 結果を見るとすべての品目で「免税手続きをした人の購入者単価が高い」という結果が出ています。

 例えば、「服(和服以外)・かばん・靴」という品目では、免税手続き申請者の1人当たり単価が6万4000円だったのに対し、非申請者は2万5000円にとどまっています。これは訪日客が「免税で買える」と聞いた途端に「財布のひもが緩んだ」ことが窺えます。
 「販売品目別の免税手続きの実施率」に関する統計も興味ある結果を示しています。これは、調査を行った訪日客のうち、実際に購入し、免税手続きも行った人の割合を表しています。

最も払い戻し申請が多いのは「化粧品・香水」

 最も払い戻し申請が多いのは「化粧品・香水」で12%。次いで、「服(和服以外)・かばん・靴」が10%となっています。うち、「化粧品・香水」はかねて中国人観光客の需要が高かったことから、免税品目への追加が期待されていましたが、対象品目に加えられた途端、予想通りトップに躍り出ました。小売各社に取材したところ、「化粧品については、ブランドや品名の指名買いがとても多い」との回答が多数寄せられています。

家電を購入して免税手続きも行った人は少なめ

 訪日客による免税購入の代表的な商品といえば、やはり家電品やカメラでしょう。家電量販店に足を運んでみると、特に中国人観光客が炊飯器やビデオカメラ、デジタルカメラ、さらに温水洗浄便座などを競い合って買い求めている姿を目にします。ところが、これらの商品を購入して免税手続きも行った人の訪日客全体に占める割合は、家電品が6%、カメラ関連では4%しかいません。
 ただ、これら家電品やカメラ関連の購入者の国籍内訳を見ていくと、どちらも中国からの訪日客が5割を超えています。他の品目でこれほどまで国籍が偏っているケースはありません。このように統計からも「家電量販店で中国人が爆買い」という傾向が顕著に見られます。
 
 一方、免税手続きの申請率が低いのは「書籍・絵はがき・DVD」で、0%でした。これは、日本語が読めない外国人が書籍を購入するケースは極めて少ないため、当然の結果と言えます。DVDについては日本向け製品を国外に持ち出しても、「リージョンコード」により現地の端末では視聴出来ないという背景があるためと考えられます。

免税手続き 家電量販店 免税品目 爆買い

伊藤雅雄  インバウンド旅行研究家
伊藤雅雄 インバウンド旅行研究家

伊藤雅雄(いとうまさお)
大学在学中に、中国語と比較文化論、シルクロード史などを研究。卒業後、旅行代理店に就職するも、1997年の香港返還を機に、エッセイやコラム執筆、書籍制作に携わる編集者兼ライターに転向。過去25年以上にわたり、添乗や視察、取材などの目的で日本人が行きそうな外国の街のほとんどを訪れている。特に中国をはじめとするアジア各地に土地勘がある。

2007年夏より英国・ロンドンに在住。2014年からは「日本最大級の旅行情報サイト・トラベルコちゃん」のレポーターとして従事しているほか、バーチャル編集プロダクション・Watch! CLMBの編集主幹として、アジアの新興国に関する書籍の制作に携わっている。
著書に、日本を訪れる中国人観光客について論じた「中国人ご一行様からのクレームです(三修社刊)」がある。

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