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伊藤雅雄  インバウンド旅行研究家
伊藤雅雄 インバウンド旅行研究家

訪日客 4割が免税の払い戻しを手続き


2016年1月15日

 短期滞在の訪日客は小売店でのショッピングの際、一定の金額以上を購入すると消費税(2015年現在、8%)が免除される『免税店制度』の恩恵が受けられます。
日本政府は2014年秋に、「一時滞在者向け免税範囲の大幅拡大」を実施し、食品など「消耗品」も免税で購入出来るように制度が改定されました。

消耗品などの免税販売がインバウンド消費の拡大の追い風に

 
 では、「払い戻し手続き」を実際に行った訪日客はどのくらいの割合なのでしょうか。

 観光庁の「訪日外国人消費動向調査」などによると、観光目的で日本を訪れた外国人のうち、免税手続きを受けた人は半分近くに達してます。
 観光庁は、2014年以前まで20%前後で推移していた「手続きを受けた人の割合」が急激に伸びた理由について、「免税の対象品目拡大が免税実施率押し上げの要因」と明確に述べています。同年第4四半期の手続きを受けた人のうち、およそ半分(40%のうちの19%)が消耗品を含む新規対象品目の購入分について払い戻し申請をしています。つまり、消耗品などの免税販売がインバウンド消費の拡大の追い風となっていることは疑いありません。

 買い物に関する「品目別の購入率(複数回答)」では、菓子類が7割近い訪日客に買われているほか、食料品が5割に達しています。また「化粧品・香水」「医薬品・健康グッズ・トイレタリー」が共に34%と人気です。これらの品目はいずれも「消耗品」に属しており、免税品目拡大の恩恵を大きく受けた格好となっています。

 また、手続きを受けた人を国籍別で見てみると、中国、台湾、香港がいずれも5割を突破しているほか、タイ、シンガポール、マレーシアも30%前後と高い水準にあります。

欧州での日本食のさらなる普及による申請者の拡大も期待


 ところが、欧米各国の訪日客による免税申請は軒並み低率で、いずれも20%を下回っています。

 内訳を見ても、消耗品などの購入分についての払い戻し申請件数が極めて少ないのが現状です。
ただ、訪日客が多い欧州の3カ国(英国、ドイツ、フランス)にある現地の日本食材店では、日本人以外の顧客の来店が増えています。

 今後、欧州での日本食のさらなる普及により、欧州各国からの訪日客による消耗品の免税手続き申請者の拡大も期待できます。
伊藤雅雄(いとうまさお)
大学在学中に、中国語と比較文化論、シルクロード史などを研究。卒業後、旅行代理店に就職するも、1997年の香港返還を機に、エッセイやコラム執筆、書籍制作に携わる編集者兼ライターに転向。過去25年以上にわたり、添乗や視察、取材などの目的で日本人が行きそうな外国の街のほとんどを訪れている。特に中国をはじめとするアジア各地に土地勘がある。

2007年夏より英国・ロンドンに在住。2014年からは「日本最大級の旅行情報サイト・トラベルコちゃん」のレポーターとして従事しているほか、バーチャル編集プロダクション・Watch! CLMBの編集主幹として、アジアの新興国に関する書籍の制作に携わっている。
著書に、日本を訪れる中国人観光客について論じた「中国人ご一行様からのクレームです(三修社刊)」がある。

▼伊藤雅雄のインバウンド関係書籍▼
免税販売・ショッピングの手引き インバウンドへのアプローチ
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インバウンド消費 観光庁 免税販売

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伊藤雅雄(いとうまさお)
大学在学中に、中国語と比較文化論、シルクロード史などを研究。卒業後、旅行代理店に就職するも、1997年の香港返還を機に、エッセイやコラム執筆、書籍制作に携わる編集者兼ライターに転向。過去25年以上にわたり、添乗や視察、取材などの目的で日本人が行きそうな外国の街のほとんどを訪れている。特に中国をはじめとするアジア各地に土地勘がある。

2007年夏より英国・ロンドンに在住。2014年からは「日本最大級の旅行情報サイト・トラベルコちゃん」のレポーターとして従事しているほか、バーチャル編集プロダクション・Watch! CLMBの編集主幹として、アジアの新興国に関する書籍の制作に携わっている。
著書に、日本を訪れる中国人観光客について論じた「中国人ご一行様からのクレームです(三修社刊)」がある。

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