世界ガイド
伊藤雅雄  インバウンド旅行研究家
伊藤雅雄 インバウンド旅行研究家

日本への渡航者、8割が個人客=インバウンド旅行


2015年12月13日

日本への渡航者、8割が個人客=インバウンド旅行
訪日観光客はどんな方法で日本を訪れているのでしょうか?意外にも個人客が多いようですよ。
 日本人にとって「外国に行く時のスタイル」は「添乗員などの力を借りて団体で動く」のが依然として主流と言ってよいでしょう。年齢が上がるほどこの傾向は高くなり、例えば「60代以上のご夫婦が全くの個人手配で欧州に行った」というようなケースはまず聞きませんし、現地でお目にかかったこともほぼ皆無です。日本人の海外旅行についてデータを調べてみると、「団体ツアー」の利用率は6割近くに達しています。
インバウンド客はツアーに参加して来ているのでしょうか?数字を追ってみました。

外国人訪日客は全体の8割に

 日本に来ている外国人のほとんどが「個人旅行者」です。
 全体での割合をみると、旅行会社が企画した「団体ツアー」への参加が21%にとどまる一方、航空券とホテル手配がセットになった「ダイナミックパッケージ」の利用が12%、旅行会社を通さず個人で旅の準備をした「個別手配」が67%となっています。つまり、添乗員やガイドの力を借りず、個人で日本を巡っている外国人訪日客は全体の8割に達しているのです。

日本語がわからなくてもお構い無し!

 
 宿に泊まるのも、乗り物に乗るのも、買い物をするのもすべて個人の意思で決めて、行動しています。当然のことながら外国人訪日客のほぼ100%は日本語を解しません。60〜70代の欧米人ご夫婦が悠々と日本での旅行を楽しんでいる姿もよく見かけます。つまり、「外国人の旅行形態は、日本人の海外旅行のスタイルとは全く違う」と認識しておくべきです。
 欧州・北米・豪州からの訪日客のうち「個人旅行者」はいずれも8割を超えています。一方、日本人がイメージする「団体ツアー」の参加者は5〜6%にとどまっています。
 「言葉が通じない日本で、外人さんたちはどのように旅行するのだろう」という疑問を感じる方もおられるでしょう。
 米国・カナダ・豪州では英語が公用語ですから、欧米人が言葉のハンディで旅行中に困る可能性は少ないです。ただ、世界中には英語が通じない場所も多く、個人旅行者として訪日する人々は概して、非英語圏(非母国語圏)の国々への旅行経験が日本人と比べて圧倒的に豊富です。つまり「言葉が通じない場所での行動」に慣れているため、日本に行くからと言って、特別な心配や不安を感じたりはしないのです。
 
伊藤雅雄  インバウンド旅行研究家
伊藤雅雄 インバウンド旅行研究家

伊藤雅雄(いとうまさお)
大学在学中に、中国語と比較文化論、シルクロード史などを研究。卒業後、旅行代理店に就職するも、1997年の香港返還を機に、エッセイやコラム執筆、書籍制作に携わる編集者兼ライターに転向。過去25年以上にわたり、添乗や視察、取材などの目的で日本人が行きそうな外国の街のほとんどを訪れている。特に中国をはじめとするアジア各地に土地勘がある。

2007年夏より英国・ロンドンに在住。2014年からは「日本最大級の旅行情報サイト・トラベルコちゃん」のレポーターとして従事しているほか、バーチャル編集プロダクション・Watch! CLMBの編集主幹として、アジアの新興国に関する書籍の制作に携わっている。
著書に、日本を訪れる中国人観光客について論じた「中国人ご一行様からのクレームです(三修社刊)」がある。

▼伊藤雅雄のインバウンド関係書籍▼
免税販売・ショッピングの手引き インバウンドへのアプローチ
▼同書の公式Facebookページ▼
免税販売・ショッピングの手引きfanページ
  • このエントリーをはてなブックマークに追加

  • メール

  • RSS