世界ガイド
石田 奈帆美
石田 奈帆美

​アイスランド滞在記(2)~オープンマインドの源泉~


2016年10月27日

​アイスランド滞在記(2)~オープンマインドの源泉~
自然の魅力満載のアイスランド。イメージを覆されたのはその自然だけではなく、人々も同じでした。

寒い国に住む人々への固定観念

渡航前、とりわけ明るいイメージがなかったアイスランド。暗くて寒い、厳しい自然環境を想像していました。それは人々に対しても同じで、口数は少なく、固い表情、感情表現は控えめ、というイメージを持っていました。しかしそれは、私にとって全くの固定概念でした。

オープンなアイスランドの人々

滞在中に接したお店の店員さん、旅行会社のスタッフやガイド、宿泊先のホストなど。全般的にみな非常にフレンドリーでした。それは接客業の人々のみならず、バス停でお喋りをした若者カップル、道を尋ねたおじいちゃんも同じで、こちらから一方的に話しかけても全く警戒することなく、友達感覚で接しくれました。

滞在中、Couchsurfingという、現地の一般家庭に宿泊できるAirbnbのようなサービスを使いました。滞在先のホストにアイスランド人の特徴は何かと尋ねると、一番最初に返ってきた答えが「アイスランド人はオープンマインドだ」というものでした。到着初日だったこともあり、この言葉には驚かされました。また、みなFacebook好きとも言っていて、たしかにアイスランド人について書かれた本にも、「アイスランド人はFacebookで最新情報をチェックするほど頻繁に使い、情報のやり取りをしている」とありました。実際にそのホストも、私との会話中終始携帯で友達とやり取りをしていました。。(友達にトラブルがあったということでしたが。)リアルでもオンラインでも、アイスランドの人々は人との繋がりが好きなのかもしれません。

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何が人をオープンにするのか?

時間も場所も飛びますが、一昔前、西アフリカはガーナに2年ほど住んでいた経験があります。ガーナの人々は、恐らく多くの人がイメージできるであろう、明るく、オープンで、人との距離が近いことが特徴的です。環境も歴史も全く異なるガーナとアイスランドですが、人のオープンさという意外な共通点に気づきました。「何が人をオープンにするのか。」そんなことを考えていたら、それまで気づかなかった共通点がいくつか見えてきました。

まず、自然が澄んでいること。ガーナは亜熱帯とサバンナ気候のため乾季は特に灼熱の暑さですが、空気は綺麗で空は澄んでいます。毎晩家から天の川が見えていたものです。気候は大きく違えど、前回の記事で特筆したようにアイスランドの自然もとても澄んでいます。アイスランドは自然の純度が高いとも述べましたが、自然の純度は人の純度も上げるのではと思いました。綺麗な自然は、人間が持つ本来の性質をより際立たせるのではないかと思います。確証があるわけではないですが、綺麗な自然環境に住むガーナとアイスランドの人々を見て、人は本来オープンマインドな生き物なのではないかと思いました。

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また、ストレスフリーであることも二つの国の人々の大きな特徴です。アイスランドは人口30万の小国。渋滞もなければ、都心の大きなストレスの元である電車そのものがありません。ホストは、「アイスランド人にストレスはない」と明言していました。全般的に残業はないようで、彼の場合は会社勤めにも関わらず、自由な勤務時間で働いていると言っていました。一方ガーナ人は、その民族性からか皆一様に明るく楽観的です。近しい人間関係でトラブルがあることは彼らにとって日常茶飯事ですが、それをストレスとして抱え続け思い悩む気配を感じることはありませんでした。ストレスから自由な生き方をしていると、自ずと開放的になり、心もオープンになるのではと思いました。

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自然の綺麗さはあるものの、両国とも厳しい自然環境にいることも共通しています。アイスランドは、火山活動が活発で地震も頻繁に起こります。数年前に起こった火山噴火では、首都の空港が数週間にわたり閉鎖し、ヨーロッパ中に大きな支障をきたしたそうです。こうした天災に対して人々はとても楽観的だそうで、その理由は、人がコントロールできないことに対して良い意味での諦めがあるようです。そうした特性が影響してか、いつどんな天災が起こるかわからないため、アイスランド人は直前まで物事を決めない、という傾向があるようです。ガーナの自然環境もまた厳しく、特に乾季の暑さは尋常ではありません。日中の40度越えはざらにあります。雨季には毎日スコールの様な土砂降り雨が降ります。インフラがあまり整っていないので、交通面で足止めを食らうことは本当に日常茶飯事です。こうした自然の猛威には、抗った分だけ労を費やします。アイスランドでもガーナでも、自然環境の厳しい地域に住む人々は、自然に対する抵抗への諦めがあるように思います。言い換えると、予期せぬ自然の出来事を受け入れているのだと思います。そして、不測の自然の出来事を受け入れるとは、自然に対してオープンであるようにも思いました。その自然へのオープンさが、人々の心にもオープンなマインドを宿しているのではないでしょうか。

極寒のアイスランドと、灼熱のガーナ。一見正反対のような国々に垣間見る、「オープンマインド」という共通事項。その源泉には、自然の力が及んでいるのではないかと思いました。

アイスランドの人々

石田 奈帆美
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