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ミュンヘンで発生の発砲事件=注目したい当局の迅速な対応


2016年7月23日

ミュンヘンで発生の発砲事件=注目したい当局の迅速な対応
7月22日の夕方(現地時間)、ドイツ南部の大都市ミュンヘンにあるショッピングモールで発砲事件が起きました。はたしてこういう事態に市当局はどのような対応を取ったのでしょうか。

死者10人、狙撃犯は3人? 

欧州では先にもフランスのリゾート地、ニースでトラックの暴走により80人以上が犠牲になるという痛ましい事故が起きました。ミュンヘンもどちらかといえば安全な街、と捉えられていただけに、人々の間で大きなショックが広がっています。
23日0時現在、少なくとも死者は10人に上っています。うち1人は犯人らしい、という報道がある一方、事件直後に「狙撃犯は3人だった」と目撃情報があったことから、犯人の行方がよくわからない、という状況になっています。

事件があった場所はこちら

事件のあったOEZ「オリンピア アインカウフツェントラム(英語での意訳は、オリンピックショッピングセントラル)」は地下鉄U1線の終点にあります。オリンピックと名がつくくらいですから、当然五輪とは縁があって、モールはこの街で1972年に夏季五輪が行われた会場の隣接地に建てられています。現地に住むフランツさとみさんによると「ミュンヘン市内で大きなショッピングモールは少ないが、OEZは使い勝手がよくて頻繁に使うモール」ということです。


矢継ぎ早で対応した市当局

今回の事件では、ミュンヘン当局は発生後どう動いたのか。迅速な対応が目を見はりました。
まず、地下鉄の運行(実はDB=ドイツ鉄道が運営)を休止、そして市内バスの運行も止めました。さらに、タクシーの運転手に、「客をこれ以降に乗せるな」と犯人の逃走に使われることを打ち切る手段に出ました。市民に対し、これらのアップデート情報を次々とSNSで通知したことも見逃せません。
ただ、このような「足の遮断」という施策を取ってしまったら、自宅などに帰る人々が「帰宅難民化」します。そこで、急遽、災害時に設ける「シェルター」を市内随所に開設。帰らない人たちの保護に当たりました。またこれらの設置場所もグーグルマップなどですぐに共有されたことも特筆できます。
さらに、警察は「事件に絡んだ警備体制などが分かる動画や写真を一切SNSなどに載せるな」「事件発生現場付近への野次馬行為は厳禁」と次々とツイッターで発信。犯人捜索に関する協力を求めました。さらに、ミュンヘン市の警察官だけでは対応がおぼつかない、として、隣国オーストリアに救援を求めています。一方、もうひとつの隣国、チェコは急遽陸路国境の検問を強化した、と伝えられています。

現地に飛ぶ予定の人は要注意

いまのところ(現地時間午前1時)、23日以降のミュンヘン空港発着フライトに関する具体的な対応は発表されていません。しかし、市内交通の運行事情に加え、同市があるバイエルン州政府が非常事態宣言を出したことから、「行きたくない人はキャンセルに応じる」といったような対応がなされる可能性もあります。実際に同市に行こうとしている人は関係航空会社のウェブサイトなどを確認することをお勧めします。

オクトーバーフェストはどうなる?

ミュンヘンと言えば、市内のあちこちに有名なビヤホールがあることで知られています。ところが、この発砲事件が起きるや否や、有名どころのビヤホールは即、閉店を決めてしまったため、「ビールを楽しんでいた顧客たちはいきなり外に放り出された」という話しも伝わって来ています。
中東からの難民受け入れゲートウェイとして世界に報道されたミュンヘンの街が、このようなかたちで「危ないところ」として広まるのはなんともつらいところです。恒例のオクトーバーフェストで、安心してビールが飲めるような環境になってくれたらなあ、と願ってやみません。
協力…フランツさとみさん=ミュンヘンで昨秋から積極的にシリアなどからの難民に関する調査を行っている。
写真は筆者がウォッチし続けているBBCのアップデートサイトからキャプチャー。

テロリスト ミュンヘン発砲事件

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