ロシア軍機撃墜地点って「町田」のような場所?
2015年11月30日
ロシアの戦闘機が落とされたトルコのハタイ県、歴史的に微妙な場所にあるようです……。
ツイッターで、「事件のあったトルコ・ハタイ県は東京都町田市のような存在では?」という記事を見つけ、元神奈川県民としては深く納得できました。
トルコ・ハタイ県はトルコとシリアの間で支配権が幾度か移動した地域です。まさに日本の東京都町田市。東京都か神奈川県か、どれだけの人が正確に認知しているでしょうか。実際問題、町田市への移動は、神奈川県の横浜市や相模原市からの方がアクセスしやすいです。
トルコとロシアは、傍からみればISを打倒するため共同戦線を張っているグループの一員でしょう。ただ、両国の因縁はオスマントルコまで遡り、トルコのロシアへの不信感はとても根強いものがあります。彼らにしてみればクリミア戦争をはじめ、やたらと攻め込んできて領土を切り取っていった相手なのです。
ロシアにしてみれば、黒海の出口であるボスポラス海峡とダーダネルス海峡を両岸から挟んでいるトルコは邪魔者以外のなにものでもありません。もしトルコが片岸しか支配していなければ自由に(もちろん国際的な枠組みによる規制はあるにしても)艦隊を地中海に派遣できます。
IS(いわゆるイスラム国武装グループ)によるテロ活動・反既存国家運動が始まる前は、トルコは国内の少数民族であるクルド人をどうにかコントロールしようとし、ロシアはシリアのアサド政権を足がかりに中東への影響力拡大に力を入れていました。
シリアと国境を接するトルコにしてみれば、もし両国に強力な結びつきができれば、ある意味挟み撃ちの状況に追い込まれてしまいます。それに対抗するため、トルコは古くからのNATO構成国となっています。
額面通り受け入れるなら、プーチンの言った「背中から刺された」というのは分からないでもありません。国境が参照する地図によってははっきりしないからです。(とはいえ、現状をリアルに認識した上で、トルコへの威嚇・警告の意味をこめて戦闘機の上空通過を指揮した可能性も充分にあります。)実際に戦闘機が墜落したのは現シリア領内でした。
しかし、常にロシアの脅威を感じているトルコにしてみれば、領空侵犯はとても神経質な問題ですし、実際問題IS空爆でロシア軍機がバンバン目の前を飛んでいるのも苦々しく見ているのではないでしょうか。
今回の騒ぎは、トルコ側が後悔の念を述べたことで、一応の決着はつきそうです。
パリのテロ以降、ドイツでも爆発物騒ぎは起こりました。またブリュッセルでは、まともに地下鉄が使えない状態がしばらく続きました。
11月13日のテロにしてみれば、ISに全て責任をおしつけるのはどうかと思いますが、それは今は置いておきます。
にしてもIS打倒でヨーロッパが一枚岩かと言えば、各国は冷静に自国の利益を守ろうもしくは拡大しようと躍起です。これは、とても冷徹な外交。敵の敵は味方どころの 騒ぎではありません。手を結ぶべくは結び、一方自らの不利益はなるべく小さくする。金は出さない。しかし国民への監視・アピールには労を厭わない。
のんきに、欧州政治は複雑怪奇なんて言ってると、リアルなとこを見失ってしまい、日本からは理解できないままおかしな流れに巻き込まれてしまう可能性もあります。
何事にも冷静な分析が必要ではないでしょうか。
トルコ・ハタイ県はトルコとシリアの間で支配権が幾度か移動した地域です。まさに日本の東京都町田市。東京都か神奈川県か、どれだけの人が正確に認知しているでしょうか。実際問題、町田市への移動は、神奈川県の横浜市や相模原市からの方がアクセスしやすいです。
トルコとロシアは、傍からみればISを打倒するため共同戦線を張っているグループの一員でしょう。ただ、両国の因縁はオスマントルコまで遡り、トルコのロシアへの不信感はとても根強いものがあります。彼らにしてみればクリミア戦争をはじめ、やたらと攻め込んできて領土を切り取っていった相手なのです。
ロシアにしてみれば、黒海の出口であるボスポラス海峡とダーダネルス海峡を両岸から挟んでいるトルコは邪魔者以外のなにものでもありません。もしトルコが片岸しか支配していなければ自由に(もちろん国際的な枠組みによる規制はあるにしても)艦隊を地中海に派遣できます。
IS(いわゆるイスラム国武装グループ)によるテロ活動・反既存国家運動が始まる前は、トルコは国内の少数民族であるクルド人をどうにかコントロールしようとし、ロシアはシリアのアサド政権を足がかりに中東への影響力拡大に力を入れていました。
シリアと国境を接するトルコにしてみれば、もし両国に強力な結びつきができれば、ある意味挟み撃ちの状況に追い込まれてしまいます。それに対抗するため、トルコは古くからのNATO構成国となっています。
額面通り受け入れるなら、プーチンの言った「背中から刺された」というのは分からないでもありません。国境が参照する地図によってははっきりしないからです。(とはいえ、現状をリアルに認識した上で、トルコへの威嚇・警告の意味をこめて戦闘機の上空通過を指揮した可能性も充分にあります。)実際に戦闘機が墜落したのは現シリア領内でした。
しかし、常にロシアの脅威を感じているトルコにしてみれば、領空侵犯はとても神経質な問題ですし、実際問題IS空爆でロシア軍機がバンバン目の前を飛んでいるのも苦々しく見ているのではないでしょうか。
今回の騒ぎは、トルコ側が後悔の念を述べたことで、一応の決着はつきそうです。
パリのテロ以降、ドイツでも爆発物騒ぎは起こりました。またブリュッセルでは、まともに地下鉄が使えない状態がしばらく続きました。
11月13日のテロにしてみれば、ISに全て責任をおしつけるのはどうかと思いますが、それは今は置いておきます。
にしてもIS打倒でヨーロッパが一枚岩かと言えば、各国は冷静に自国の利益を守ろうもしくは拡大しようと躍起です。これは、とても冷徹な外交。敵の敵は味方どころの 騒ぎではありません。手を結ぶべくは結び、一方自らの不利益はなるべく小さくする。金は出さない。しかし国民への監視・アピールには労を厭わない。
のんきに、欧州政治は複雑怪奇なんて言ってると、リアルなとこを見失ってしまい、日本からは理解できないままおかしな流れに巻き込まれてしまう可能性もあります。
何事にも冷静な分析が必要ではないでしょうか。