【在英記者の目】パリテロ後 —どこでも起きうるー
2015年11月15日
パリで13日夜起きた同時多発テロ。ロンドン在住のジャーナリスト・小林恭子さんが緊迫した状況を伝えています。
パリで13日夜に同時多発テロが発生してから、1日が過ぎた。
オランド仏大統領によれば、129人の犠牲者が出たテロは「イスラム国(IS)」の攻撃による、という。
事件の概要は伝えられたものの、全容の解明にはまだ時間がかかりそうだ。
海峡を挟んで英国にいる自分にとって、今回のテロはやはり衝撃だった。
パリ市内、あるいは他の大都市でなんらかの事件が起きる可能性は低くないだろう。ほかのイスラム教過激派のシンパが今何かことを起こせば、世界中から注目を浴びるからだ。何かやってみたい・・・そんな誘惑が充満している。
現時点での感想になるが、イスラム国グループがパリのテロの実行犯だとして話を進めるとして、「とうとう、ここまで来たか」という思いがした。
特に2001年9月11日の米大規模同時テロの後、欧米諸国でのイスラム・テロの問題が大きく知られるようになったのだろうと思う。
2005年でもロンドンテロがあり、50数人が亡くなった。 これまではイスラム教過激派と欧米社会が呼ぶところの青年たちが自爆テロを起こすという一つのパターンがあった。
9・11テロの後、米英を中心とする国がアフガニスタン、イラクで戦争を開始する。この時の敵はアルカイダやイラクのフセイン大統領だった。イラク開戦には正当な理由がないのではないか、ということで、英国でも随分と反戦運動が大きくなったものだ。
2015年現在、アルカイダの代わりに、イラクやシリアで力を伸ばすイスラム国勢力がいる。米国を中心とした有志連合がISを倒すために、空爆を行っている。
それは、イラク戦争の犠牲者のこと。それに、ひとまず戦争が終わって、宗派同士の争いがあるイラクでの死者が絶えないことだ。毎日のように、「今日は何人亡くなりました」という報道が出る。英兵も亡くなっているが、イラクの市民がたくさん亡くなっている。
今はシリアだ。IS討伐のため、毎日ように有志連合が空爆しているために、命を落としている人がいる。 パキスタンへのドローン攻撃でも人が亡くなっている。
つい最近は、ISの「ジハディスト・ジョン」をドローン攻撃で殺害したとキャメロン英首相が発表したばかりだ。「ジョン」は日本の後藤健二さんや他の数人を残酷な手法で殺害した人物として知られている。
キャメロン首相はジョンの殺害は「正しいことだった」という。しかし、殺された人々の家族のほとんどが「生きて捕まえて、裁判にかけてほしかった」と言っている。
ジョンの殺害は、結局のところ、「処刑」だったといえよう。「生きて捕まえて法で裁くなんて、絵空事は言っていられない」という見方もあるが、どうにもひっかかる。法治国家英国がそういうことをしてよいのだろうか。
しかし、今回の129人の犠牲者・殺害は非常に恐ろしく、痛ましいものの、その一方で、連日シリアに空爆を行う有志連合が使う、言葉はきついが「殺人兵器」も非常に恐ろしい。ハラハラする。
空爆をどんどんやって、自国には弾丸が降ってこない・・・とでも思っているのだろうか。
今回のテロリストの行為を正当化しているのではない。
ただ、他国に行って、その国の国民に弾丸の雨を降らせたら、何かしらのリアクションがある・・・それは可能性の1つだろう。
欧米諸国による他国への軍事介入をなんとか、止められないものだろうか。
オランド仏大統領によれば、129人の犠牲者が出たテロは「イスラム国(IS)」の攻撃による、という。
事件の概要は伝えられたものの、全容の解明にはまだ時間がかかりそうだ。
海峡を挟んで英国にいる自分にとって、今回のテロはやはり衝撃だった。
「テロはまだ終わっていない」
BBCニュースを見ていたら、「まだ終わっていない」とある新聞の元編集長がインタビューに答えていた。 確かに、そんな感じがする。パリ市内、あるいは他の大都市でなんらかの事件が起きる可能性は低くないだろう。ほかのイスラム教過激派のシンパが今何かことを起こせば、世界中から注目を浴びるからだ。何かやってみたい・・・そんな誘惑が充満している。
現時点での感想になるが、イスラム国グループがパリのテロの実行犯だとして話を進めるとして、「とうとう、ここまで来たか」という思いがした。
テロ攻撃は準備周到
数カ所での、同時テロ。その1つでは劇場にいた人を人質にとっている。最終的に129人の命を取るまで、非常のプロフェッショナルに犯行が行われた模様である。ここまで準備をし、「作戦」を実行できるには、相当の実行力、コミュニケーション能力、資金などさまざまな力がISグループにあることを示す。特に2001年9月11日の米大規模同時テロの後、欧米諸国でのイスラム・テロの問題が大きく知られるようになったのだろうと思う。
2005年でもロンドンテロがあり、50数人が亡くなった。 これまではイスラム教過激派と欧米社会が呼ぶところの青年たちが自爆テロを起こすという一つのパターンがあった。
9・11テロの後、米英を中心とする国がアフガニスタン、イラクで戦争を開始する。この時の敵はアルカイダやイラクのフセイン大統領だった。イラク開戦には正当な理由がないのではないか、ということで、英国でも随分と反戦運動が大きくなったものだ。
2015年現在、アルカイダの代わりに、イラクやシリアで力を伸ばすイスラム国勢力がいる。米国を中心とした有志連合がISを倒すために、空爆を行っている。
テロは目前に迫った危機か?
2003年から現在まで、英国に住む一人として、非常に怖いなあという思っていることがある。それは、イラク戦争の犠牲者のこと。それに、ひとまず戦争が終わって、宗派同士の争いがあるイラクでの死者が絶えないことだ。毎日のように、「今日は何人亡くなりました」という報道が出る。英兵も亡くなっているが、イラクの市民がたくさん亡くなっている。
今はシリアだ。IS討伐のため、毎日ように有志連合が空爆しているために、命を落としている人がいる。 パキスタンへのドローン攻撃でも人が亡くなっている。
つい最近は、ISの「ジハディスト・ジョン」をドローン攻撃で殺害したとキャメロン英首相が発表したばかりだ。「ジョン」は日本の後藤健二さんや他の数人を残酷な手法で殺害した人物として知られている。
キャメロン首相はジョンの殺害は「正しいことだった」という。しかし、殺された人々の家族のほとんどが「生きて捕まえて、裁判にかけてほしかった」と言っている。
ジョンの殺害は、結局のところ、「処刑」だったといえよう。「生きて捕まえて法で裁くなんて、絵空事は言っていられない」という見方もあるが、どうにもひっかかる。法治国家英国がそういうことをしてよいのだろうか。
IS討伐を宣言した仏大統領
パリのテロ後、オランド大統領はフランス国内外でIS討伐のために戦うという勇ましいような発言をしたようだ。そういわざるを得ないし、そういうべきなのだろう。しかし、今回の129人の犠牲者・殺害は非常に恐ろしく、痛ましいものの、その一方で、連日シリアに空爆を行う有志連合が使う、言葉はきついが「殺人兵器」も非常に恐ろしい。ハラハラする。
空爆をどんどんやって、自国には弾丸が降ってこない・・・とでも思っているのだろうか。
今回のテロリストの行為を正当化しているのではない。
ただ、他国に行って、その国の国民に弾丸の雨を降らせたら、何かしらのリアクションがある・・・それは可能性の1つだろう。
欧米諸国による他国への軍事介入をなんとか、止められないものだろうか。
トップ写真:BBCニュースウェブから
小林恭子さん: 成城大学文芸学部芸術学科(映画専攻)を卒業後、米投資銀行勤務を経て、読売新聞の英字日刊紙「デイリー・ヨミウリ」の記者となる。2002年、渡英。英国のメディアをジャーナリズムの観点からウォッチングするブログ「英国メディア・ウォッチ」などを運営しながら、新聞業界紙、雑誌などにメディア記事を執筆。ヤフーニュース、ハフィントンポストなどに積極的に寄稿している。