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ドイツを目指す難民の玄関口 ミュンヘンのいま


2015年9月17日

ドイツを目指す難民の玄関口 ミュンヘンのいま
シリアなどからの難民がバルカン半島からドイツへと移動しています。ミュンヘン在住のフランツさとみさんがレポートします。

「難民の表玄関」ミュンヘン中央駅に行ってみた

毎日大量の難民がドイツにやってきているなか、ハンガリーを出発した列車が到着するミュンヘン中央駅を訪れてみた。
とにかく人が多い。列車到着前にプラットホームで待機する警察官、駅構内に荷物を広げて座り込む人々、グループで所々に固まっている外国人など、以前では見られなかった光景が広がっている。
ミュンヘン中央駅周辺はもともとアラブ系の移民たちがたむろしている場であるが、一層輪をかけて独特な雰囲気を醸し出している。

ブンデスリーガの試合で掲げられた「Refugees Welcome」のメッセージを目にした人は多いだろう。ミュンヘン中央駅に集まった多くのボランティアも難民を温かく迎えるメッセージを携え、彼らに食料や水を配給している。衣料品は保管場所が確保できないほど集まり、しばらくは受け取りをストップしているほどだ。ミュンヘン市長のDieter Reiter氏は、こうした市民のサポートに感謝を述べている。
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▲筆者が駅に行った際には、難民の姿はほとんど見られず▲

ドイツ人は難民を歓迎

このようなドイツ人の行動は、負の歴史に基づく。「第二次世界大戦後、国際社会はドイツが立ち直ることを許してくれた。今度はドイツが苦境にあえぐ人たちを救う番である」という意識が、今回の難民歓迎へと繋がっている。
ボランティアの中にはかつて自分も難民としてドイツにやってきた人たちも参加しており、ドイツが差し伸べた手は、恩送りの輪として確実に繋がっていると感じずにはいられない。

メルケル首相は2015年12月までに80万人の難民を受け入れると宣言したが、かつて「多文化主義社会は失敗した」と明言している。難民を歓迎はしているものの、融合は上手くいっていない。イスラム諸国からやってくる人々は、他の文化を持つ人々に比べて融合がより困難であり、就労意欲が低く、社会福祉に依存している割合が高いのも事実なのである。

筆者の通っていたドイツ語学校でも、上記の問題は手に取るように明らかであった。授業料、教材費を免除されているのにも関わらず平気で学校を休む、何かと口実をつけては宿題をやってこず授業に積極的に参加する姿勢が見られない、定められているドイツ語検定に何年経っても合格しないなどが当たり前の状態であった。もちろん全ての人がそうではない。しかし、かなりの数の移民たちが「充実している福祉にタダ乗り」している感は否めない。
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▲普段より多くの警官がパトロール▲

異なる文化との融合は果たせるだろうか?

難民歓迎を声高に叫ぶ一方で極右グループは勢いを増し、このままではドイツがドイツではなくなってしまうという危機感を抱く一般市民も増えている。異なる文化や思想を持つ人たちが押し寄せてきて、ドイツ本来のアイデンティティーが危ぶまれているのだ。
外国人としてドイツに暮らす私たちにも、今後は厳しい風当たりが待っているかもしれない。

最大の試練をむかえたドイツの人道主義は、怒涛のように押し寄せてくる難民にどう対処するのか、その力量が問われている。
フランツさとみさんプロフィール
ドイツ人と結婚し、ミュンヘン在住2年の新米主婦兼フリーライター。猫と雑貨をこよなく愛し、動物愛護が最大の関心事です。国際結婚から見えてくるドイツ社会や当地での生活情報もネットで配信中。

ミュンヘン 難民問題

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