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伊藤雅雄  インバウンド旅行研究家
伊藤雅雄 インバウンド旅行研究家

「ドンキ」がインバウンド客にウケる秘密、とは?


2015年9月12日

「ドンキ」がインバウンド客にウケる秘密、とは?
格安店の代表格、ドン・キホーテ。どうしてあれほどまでに外国人客で賑わっているのでしょうか?

すべてのお店で免税対応

 「インバウンド観光客」の販売に注力していることで有名となったドンキ。訪日客なら必ず行く、とまで言われるほど外国人観光客の間で広く知られています。全国に300カ所弱ある同社店舗すべてで免税手続きを行っているほか、無線LAN(wi-fi)が無料で使えるなど、外国人旅行者を意識したサービスを行っています。
 総合ディスカウントストアを自ら標榜するドン・キホーテといえば、日本人にとっても「格安バラエティーストアの代表格」。ジュースや牛乳から高級ブランデー、そしてトイレットペーパーからロレックスまで、あらゆる商品がぎっしり詰まった店舗は「とにかく日本のモノを何でも買いたい訪日客」にとっては最良のショッピングスポットでしょう。

訪日客は夜遅くにお買い物

 同社店舗はどこでも24時間営業もしくは夜間遅くまでオープンしているのが特徴。この業態で深夜営業を始めたのはドン・キホーテだとされていますが、これは「夜中に荷解きをするついでに店を開けておいたらお客がずいぶんたくさん来た」という偶然から生まれたもの。いまではその深夜営業のおかげで、「夜中でもにぎやかだから安心して買い物ができる」と、日中はスケジュールがパツパツでショッピングなどしていられないインバウンド客にとって便利な場所となりました。

「ぐねぐねの通路」が買い物意欲をあおる?

 「おもちゃ箱のように商品があふれていて、自国では見たことのがないグッズもいっぱいあるし」
 深夜にお店に行ってみると、中国や韓国、香港からの訪日客が目立ちます。日本人顧客が手に取る商品はせいぜい4〜5点が平均でしょうけど、インバウンド客が買う量はたいてい「カゴからあふれるくらい」。ある日本人カップルはレジで並んでいる間じゅう「(こんなにいっぱい買うなんて)信じられん!」とつぶやいていたのが耳に残ります。
 ドンキの特徴である、手書き風POPは外国人にとってはかなりのインパクトがあるようです。さらに、顧客の店内での滞在時間を意図的に長くするために、店舗の通路はあえて曲線に作ってありますが、これが「遊園地の迷路のよう!」とショッピングの楽しさを後押ししています。

外貨でもお買い物が可能に!

 そのほか、具体的な訪日客向けの方策としては、20店舗で中国元・台湾ドル・韓国ウォン・タイバーツ・香港ドル・米国ドル・ユーロの7外貨による精算サービスを実施しているほか、35店舗での買い物を出国空港まで直接配送するサービスも行っています。さらに、免税でのショッピングを事前にオーダーできる「ウェルカム予約サイト」を稼働。一時帰国者用に日本語サイトも設けられています。なお、免税手続きは通信販売には対応していないため、このシステムを利用した場合は、店に出向いて商品ピックアップと書類の作成が必要となります。
 ドンキでは一般客に「1円玉を4円まで自由に使える」サービスを行っていますが、短期滞在者にはこんなに至れり尽くせり、なんですね。

格安ショッピング 訪日客

伊藤雅雄  インバウンド旅行研究家
伊藤雅雄 インバウンド旅行研究家

伊藤雅雄(いとうまさお)
大学在学中に、中国語と比較文化論、シルクロード史などを研究。卒業後、旅行代理店に就職するも、1997年の香港返還を機に、エッセイやコラム執筆、書籍制作に携わる編集者兼ライターに転向。過去25年以上にわたり、添乗や視察、取材などの目的で日本人が行きそうな外国の街のほとんどを訪れている。特に中国をはじめとするアジア各地に土地勘がある。

2007年夏より英国・ロンドンに在住。2014年からは「日本最大級の旅行情報サイト・トラベルコちゃん」のレポーターとして従事しているほか、バーチャル編集プロダクション・Watch! CLMBの編集主幹として、アジアの新興国に関する書籍の制作に携わっている。
著書に、日本を訪れる中国人観光客について論じた「中国人ご一行様からのクレームです(三修社刊)」がある。

▼伊藤雅雄のインバウンド関係書籍▼
免税販売・ショッピングの手引き インバウンドへのアプローチ
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