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伊藤雅雄  インバウンド旅行研究家
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日本初のLCCターミナルは貨物ハブの改装=那覇空港


2015年9月10日

日本初のLCCターミナルは貨物ハブの改装=那覇空港
日本で最初のLCC専用ターミナルの生い立ちは貨物用の流通ハブだそうです。現状はどうなっているのでしょうか?

日本初のLCCターミナルは沖縄に!

 沖縄と本土を結ぶ重要な空のターミナル・那覇空港。ここから航空自衛隊が領海侵犯機に対するスクランブルをかけているものの、民間機が発着する国内幹線空港のひとつとして機能を果たしています。ここに2012年10月、日本初の格安航空(LCC)専用ターミナルが開かれました。2015年夏時点で、ピーチの国内、国際線とバニラエアの国内線のフライトがそれぞれ同ターミナルを使っています。
 LCC用のターミナルは世界じゅうどこに行っても巨大なプレハブのような安普請は建物が使われていることが多いようです。もっとも関西空港や成田空港のLCCターミナルは簡素に作られているとはいえ、日本の厳しい耐震基準などをクリアした結果、欧州にある地方のLCC用空港と比べたらずいぶん立派ですが。

那覇空港LCCターミナルの経緯

 那覇空港のLCCターミナルの生い立ちを追ってみましょう。ANAは2009年、日本とアジア各地とを結ぶ中間にある沖縄の地の利を生かし、「アジアの貨物ハブ空港」として機能させるべく、貨物ターミナルを設けました。ここには深夜になると日本やアジアから一斉に貨物機が飛んできます。それぞれの目的地に向かう飛行機に載せ替えて、夜明けまでにそれぞれの目的地へと散って行くというわけです。ですから、この建物は深夜にしか使われず、日中は駐機場も含め空いたまま。そこで、LCCターミナルを作る計画が持ち上がりました。
 改装はたった2カ月で完了し、2012年秋から供用が開始されたわけです。当初は国内線だけの運用でしたが、通関設備ができた2014年2月以降は国際線LCC便の発着にも使われるようになりました。
生い立ちはともあれ、建物はあくまで貨物用ターミナルですから、大きな倉庫に衝立てを立てて使っているような状況です。出国審査場の入口は「どこかのイベント会場に入るような雰囲気」とコメントしている人もいるくらいで、国際空港の華々しさとは無縁です。

Peach aviation boarding by OKA Ryukyu, JAPAN.jpg
"Peach aviation boarding by OKA Ryukyu, JAPAN" by 利用者:Si-take. - Photo by Si-take.. Licensed under GFDL-no-disclaimers via Wikipedia.


訪日客はとまどいも?

 ピーチが那覇〜ソウル/仁川、台北/桃園、香港間をそれぞれ飛ばしていますが、初めて日本にやってくる訪日客がこのターミナルを見て拍子抜けしないかとドキドキします。建物内の売店も狭く、免税店もありません。たまたま、「免税店で最後の爆買い」を楽しむ中国人観光客はここから出国しないのがある意味、救いでしょうか。ただ、着陸機にかかる空港使用料はきっと格安ですから、周辺国の訪日客がより安いチケットで沖縄に来られるのは大きなインセンティブだと思いますね。

Inside in Naha Airport terminal (LCC) Ryukyu, JAPAN.jpg
"Inside in Naha Airport terminal (LCC) Ryukyu, JAPAN" by 利用者:Si-take. - Photo by Si-take.. Licensed under GFDL-no-disclaimers via Wikipedia.

タイトル写真:by Rsa/Wikimedia Commons

LCC 日本旅行

伊藤雅雄  インバウンド旅行研究家
伊藤雅雄 インバウンド旅行研究家

伊藤雅雄(いとうまさお)
大学在学中に、中国語と比較文化論、シルクロード史などを研究。卒業後、旅行代理店に就職するも、1997年の香港返還を機に、エッセイやコラム執筆、書籍制作に携わる編集者兼ライターに転向。過去25年以上にわたり、添乗や視察、取材などの目的で日本人が行きそうな外国の街のほとんどを訪れている。特に中国をはじめとするアジア各地に土地勘がある。

2007年夏より英国・ロンドンに在住。2014年からは「日本最大級の旅行情報サイト・トラベルコちゃん」のレポーターとして従事しているほか、バーチャル編集プロダクション・Watch! CLMBの編集主幹として、アジアの新興国に関する書籍の制作に携わっている。
著書に、日本を訪れる中国人観光客について論じた「中国人ご一行様からのクレームです(三修社刊)」がある。

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