世界ガイド
伊藤雅雄  インバウンド旅行研究家
伊藤雅雄 インバウンド旅行研究家

フランス人が見た日本の免税手続き


2015年6月15日

フランス人が見た日本の免税手続き
書籍「免税販売・ショッピングの手引き」から、一部を抜粋しました。上海近郊に赴任したフランス人のセバスチャンさん。初めての日本行きで、免税ショッピングを体験しました。
Q:日本に旅行したきっかけはなんでしたか?
A:出身はフランスなんですけど、長い間中東で働いていて。このたび、上海近郊に赴任したこの機会に「一番近い外国」である日本を訪れることにしました。

Q:日本でいろいろ食べられたと思いますが、どんな印象でしたか?
A:今は中国にも大勢の日本人が働いていますし、町の人々にも日本食が浸透しているので、メニューそのものには新鮮味はなかったですけど。でも、刺身や牛肉はやはり日本の方が美味しくて。鮮度が全然違います。むしろ中国で出されている刺身がどこからどう来ているのか心配になりました。

Q:ショッピングはどんなものを買われましたか?
A:品揃えはもちろんユニークなのですが、むしろ日本のデパートやショッピングセンターの整然さに目を見張りました。欧州では食料品店であんなにキレイに商品が並んでいることなどまずありません。ただ、たまたま中国で長期の休みが取れる時期の旧正月に日本を訪れてしまったので、「ここは上海の南京路か?」と思う位、東京の都心に中国人観光客が溢れていて、正直辟易しました。

Q:ショッピングの際、免税の手続きはしましたか?
A:中国を出発する前に、日本人の同僚から「欧州のように免税で買い物できる制度がある」と聞き、実際に試してみました。デパートで商品を買って、別のカウンターで手続きをするのは、パリのデパートと同じなんですけど、税金の還付分を現金で渡されたのには驚きました。世界各国、いろんなところに行きましたけど、お店でお金をもらったのは日本が初めてでした。

Q:その他、手続きで困ったことはありましたか?
A:日本はなかなか英語が通じない、と聞いていましたが、あれほどまでに通じないとは……。ただ、免税の手続きに関しては、詳しい案内書があるのでそれで理解できましたけど。手続きしてくれたスタッフのうち、たまたま英語が上手な人がいたので事情を聴いたら、上海生まれの中国人で、大学では英語を学んでいたと。日本人も学校で英語を勉強していたんでしょうから、もう少し会話ができる人がいるといいですね。
手続きそのもの、の話で言えば、都心から離れたデパートだと訪日客の来店も少ないようで、割とスムーズにできました。

Q:中国にお住まいだということですが、日本に来ている中国人観光客を見てどう思われましたか?
A:うーん、困った質問ですね。
先進国の人々と比べたら、中国の人々が公衆道徳に欠けている点は認めますけど、日本に行くような富裕層は「割とモラルが高い方」ではないでしょうか? ただ、ものすごい数の買い物客が訪日していて、池袋のデパートでは免税手続きに何時間かかるかわからないほど人が溢れていたので、悔しかったですが、諦めざるを得ませんでした。

Q:また近いうちに日本に来てみたいと思いますか?
A:そうですね、上海からなら飛行機に乗ってしまえば2時間くらいで着いちゃいますから、休みが取れたらぜひ、と思っています。
今回の日本滞在中に、お刺身とか焼き魚とか焼き鳥とか、たらふく食べました。円安のおかげもあって、とにかく食べるものが安くて驚きました。興味本位で「フランス料理レストラン」にも入ってみましたが、レベルが高くて。地元産の野菜を使った料理は本場よりおいしい、と思いましたね。
「刺身を中国に持って帰りたいなあ」と思いましたが、中国側の検疫の都合で生ものはほぼ何も持って帰れません。保冷剤をしっかり入れたら十分行ける距離なんですけど、なんとも残念です。
EUではモノの移動の自由が認められており、例えば隣の国のスーパーで買った肉とか野菜も自由に自宅まで持って帰れますから。せっかく日本政府が食料品も免税にしているのだから、中国側も何か考えてくれると良いのですが。
伊藤雅雄(いとうまさお)
大学在学中に、中国語と比較文化論、シルクロード史などを研究。卒業後、旅行代理店に就職するも、1997年の香港返還を機に、エッセイやコラム執筆、書籍制作に携わる編集者兼ライターに転向。過去25年以上にわたり、添乗や視察、取材などの目的で日本人が行きそうな外国の街のほとんどを訪れている。特に中国をはじめとするアジア各地に土地勘がある。

2007年夏より英国・ロンドンに在住。2014年からは「日本最大級の旅行情報サイト・トラベルコちゃん」のレポーターとして従事しているほか、バーチャル編集プロダクション・Watch! CLMBの編集主幹として、アジアの新興国に関する書籍の制作に携わっている。
著書に、日本を訪れる中国人観光客について論じた「中国人ご一行様からのクレームです(三修社刊)」がある。

▼伊藤雅雄のインバウンド関係書籍▼
免税販売・ショッピングの手引き インバウンドへのアプローチ
▼同書の公式Facebookページ▼
免税販売・ショッピングの手引きfanページ
伊藤雅雄  インバウンド旅行研究家
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伊藤雅雄(いとうまさお)
大学在学中に、中国語と比較文化論、シルクロード史などを研究。卒業後、旅行代理店に就職するも、1997年の香港返還を機に、エッセイやコラム執筆、書籍制作に携わる編集者兼ライターに転向。過去25年以上にわたり、添乗や視察、取材などの目的で日本人が行きそうな外国の街のほとんどを訪れている。特に中国をはじめとするアジア各地に土地勘がある。

2007年夏より英国・ロンドンに在住。2014年からは「日本最大級の旅行情報サイト・トラベルコちゃん」のレポーターとして従事しているほか、バーチャル編集プロダクション・Watch! CLMBの編集主幹として、アジアの新興国に関する書籍の制作に携わっている。
著書に、日本を訪れる中国人観光客について論じた「中国人ご一行様からのクレームです(三修社刊)」がある。

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