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「国境」について考える(1)=欧州旅行、パスポートにハンコが押されないわけ


2016年5月26日

「国境」について考える(1)=欧州旅行、パスポートにハンコが押されないわけ
テロや難民問題で揺れる欧州。果たして安全に旅行ができるのでしょうか。国境検査が省略されている欧州の国々の事情を探ってみましょう。

たくさんの国と接する、欧州の国々

外国のことを、日本語では海外とも書く。海の外は異国。そう、多くの日本人にとって、海が国と国とを隔てる境と感じている。もちろん、戦中までであれば、サハリンに国境があったりもしたけれど、今は海が境界線。
ひるがえって、ヨーロッパではどうか。ここにはインドを一回り大きくしたくらいの面積に二十八の国が固まっている。となると隣り合っている国も必然的に多くなる。例えばドイツは、右からポーランド、チェコ、オーストリア、スイス、フランス、ルクセンブルク、ベルギー、オランダ、デンマークと九カ国と国境を接している。

パスポート審査の省略を決めたシェンゲン協定

シェンゲン協定を締結している国同士では原則的に出入国審査をせずに自由に出入りできる。現在は、二十六カ国の間で協定が適用されている。
シェンゲン協定が発効する前までは、ドイツから別の国に行く場合、ベネルクス三国などの例外を除けば、地続きであっても、どの国に入るにもパスポートチェックがあった。そして、パスポートにスタンプを押してもらって、晴れて入国となった。今ではそれもなく、欧州連合(EU)市民なら身分証明書(ID)さえ持っていれば、パスポートなしでどの国にでも行くことができる。とても便利な時代になったものだ。

日本人の欧州旅行、パスポートにハンコが押されないわけ

少し前であれば、日本人がヨーロッパを旅行する際、行く先々の国で入国スタンプを押してもらうことができた。今では、ヨーロッパ大陸で最初に着いた国(空港)でスタンプを押され、そして出国の際にスタンプが押されるに過ぎない。あちこち行ってるはずなのに、なかなかスタンプがたまらないのは少し残念だ。

犯罪者は自由に高飛びできてしまうのでは?

犯罪者の高飛びを防ぐために、欧州連合では各国間で警察協力を敷いていて、犯罪者の情報は共有されている。ただし、どうしても穴はできてしまうようで、それが二〇一五年のパリ、二〇一六年のブリュッセルのテロにつながったとする説もある。
イメージ写真:チェコのプラハ中央駅。かつての東欧圏に行く際も、いまではシェンゲン協定のおかげでビザ取得はもとより、パスポートチェックも省略されている。
内容は、書籍企画「欧州はいま安全に旅行できるのか」の素材として準備されたものです。

シェンゲン協定 欧州旅行

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