インドネシアの首都・ジャカルタという街

首都・ジャカルタは人口１０００万人近い人々が住む大都市です。インドネシアの政治、経済、文化の中心地となっています。
この街は１６世紀初めまで、西ジャワにあったパジャジャラン王国の港町、「スンダ・クラパ（Sunda Kelapa）」と呼ばれていました。そのころから中国をはじめとするアジア各地との交易の拠点となっていた歴史があります。
スンダ・クラパを「ジャヤカルタ（Djajakarta、偉大な勝利の意味）」と改称したのは、１５２７年にここを征服したバンテン王国のスルタン、ファタフィラだとされます。

ジャカルタの歴史

１６世紀の末頃、ポルトガルによるこの海域での香辛料独占に対抗し進出して来たオランダは、西ジャワの王族の内紛に介入する一方、軍事援助を行う見返りとしてジャヤカルタを手に入れました。そして「バタビア（Batavia）」と改称され、植民地経営の中心地として繁栄しました。さらに２０世紀の初めにかけて町は南へと拡大して行きました。
第二次大戦中には、日本が東インドのほぼ全域を占領。そして１９４２年に日本の当局がバタビアを「ジャカルタ」と改称しました。
１９４９年、オランダ軍が撤退しジャカルタがインドネシアの首都として発足すると、政治機能だけでなく経済活動もこの街に集中し急速に肥大化しました。いまでは東南アジア最大級の街として、近代的な装いを持つに至りましたが、交通や住宅などの都市インフラの整備が追いつかず、さまざまな問題を抱えています。

ジャカルタの市内観光

ジャカルタの主な見どころを紹介しましょう。
・ファタヒラ広場　Taman Fatahillah……オランダ植民地時代に置かれたバタビアの中心広場に当たる。広場を取り巻くかたちで、かつての市庁舎であるジャカルタ歴史博物館（Museum Sejarah Jakarta）のほか、陶磁器博物館（Museum Seni Rupa & Keramik）、ワヤン博物館（Museum Wayang、ワヤンとは影絵芝居に使う人形のこと）などが建ち並んでいる。周辺にはいまでもコロニアル式建造物が多数残っており、カフェやレストランとして使われています。広場から北に向かって１０分ほど歩くと、ゴッホの絵に出て来るような「跳ね橋」がオランダ時代の史跡として残されている。
さらに北に行くと、東インド会社の物流拠点だったスンダ・クラパ港（Pelabuhan Sunda Kelap）や，その脇に海洋博物館（Museum Bahari）がある。ファタヒラ広場から北側の地域の一帯はどちらかといえばスラム化しているので、十分注意して歩くようにしたい。
・モナス　MONAS……モナスとはMonumen Nasionalの略。ジャカルタの中心にあるムルデカ広場（独立記念広場）中央にある高さ１３７メートルの塔で、独立宣言翌年の１９４６年にスカルノ初代大統領の呼びかけで国家独立を記念して建造された。頂上に掲げられた高さ１４メートルの「炎」には３５キロの純金が貼られている。台座の中にある博物館には、先史時代以来のインドネシアの歴史を現すジオラマがある。
「炎」の付け根部分にはジャカルタ全域が一望できる展望台があるが、入場まで数時間の行列を強いられることが多い。
・国立中央博物館　Museum Pusat Nasional……ムルデカ広場西側にある博物館で、正門前にタイの国王から送られた象のブロンズ像があることから、「象の館」とも呼ばれる。ジャワ原人（ピテカントロプス）頭蓋骨のレプリカがあるほか、インドネシア各地の家屋模型、民族分布のジオラマなどの展示がある。中庭には，ジャワ島でヒンドゥー教が信仰されていた頃の石像が並んでいる。
・イスティクラル･モスク　Masjid Istiqlal……１２万人以上が入れる東南アジアで最大のモスクで、１９７８年２月にイスラム教徒の祈りの場として開かれた。建物にあるドームは直径４５メートルもある。「イスティクラル」とはアラビア語で「独立」の意味。内部は礼拝時間も含めて見学することができる。
・アンチョール Ancol……ジャカルタ最大のテーマパークで、園内にはプールや水族館、遊園地など多くの施設がある。ビーチもあり、常に大勢の人で賑わう。ビーチ沿いにはレストランやショッピングモールがある。園内にはパサール・スニ（Pasar Seni）と呼ばれる民芸村があって、伝統的な木彫り、革製品、バティック、絵画、民芸品などを展示しており、買うこともできる。また、アンチョール海岸にあるマリナ・ヨットハーバーからジャカルタ湾にあるリゾートの島「プロウ・スリブ（Pulau Seribu）」への高速船が出ている。