世界ガイド
伊藤雅雄  インバウンド旅行研究家
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中国にある、おしゃれな外資系飲食店に出入りする顧客層は?


2015年8月4日

中国にある、おしゃれな外資系飲食店に出入りする顧客層は?
中国にもたくさんある「おしゃれな外資系カフェやレストラン」。こういうお店にはどんな顧客層がやって来ているのだろう?
中国にある外資系飲食店の値付けは、一部のファストフード店を除き、世界的な標準価格と同じ水準で設定されている。したがって、スターバックスなどのコーヒーは「普通の食堂で麺を一杯食べるより2〜3倍高い」ことになってしまう。では、どんな人たちがこれらのお店に来ているのだろうか?

お店は高所得な街に集中

中国には、住宅価格や給与水準などを基準として順位付けした「中国都市ランキング」なるものが存在する。
当然のことながら外資系のチェーン店は、これらの指標を参考にしながら、出店場所を考慮している。したがって必然的に「高所得者が多い都市に集中して展開」となるわけだ。
例えば、一線都市(北京、上海、広州、深セン)の給与水準を見てみよう(参考:人民網日本語版 2015年03月16日による)。2015年春節直後の平均月給は6,518元と12万円を超えている。また、新一線都市と称される、杭州、天津、成都、重慶、蘇州はそれより約1割低い5,889元だという。ちなみに、都市別の上位3都市を見ると、上海が7,108元、北京が6,585元、深セン6,285元だ。これらの数字をざっと見た感じでは日本よりも大幅に低いが、家族形態や持ち家率、さらに「分厚い」低所得者層の存在などを考えると、実際のホワイトカラーの給与水準は平均よりも相当高い。実際に、2015年卒業予定の大学生が希望する給与水準は8,001~1万元との希望が全体の4割強に達している。これなら、公共料金や家賃水準などの生活コストが日本よりはまだ低い一線都市にあって、「ちょっと外国風のお店でおしゃれに食べたり飲んだり」するお金は十分にお小遣いとして持てる訳だ。
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実は英国に本社があるHSBC、入口両側に英資本の飲食店がある
(上海浦東地区のifcにて)

爆買いの訪日客はどのくらいのランク?

参考までに「日本で爆買いする中国人たち」は、給与水準で見るとどのくらいのランクに当たるだろうか。あまりに多くの中国人団体が訪日しており、団体ごと、あるいは訪日客ごとの消費額も「ピンからキリまで」ではあるけれど。
筆者が日本のインバウンド業界関係者に尋ねたところ、「実感ベース」ではあるが、やはり一線都市あるいは新一線都市から訪日する人々は1回の旅行で「1人当たり、少なくとも50万円くらいは使っている」という。一方、二線都市(低レベル)にランクされる合肥市(安徽省)、南昌市(江西省)、南寧市(広西チワン族自治区)、昆明市(雲南省)あたりから来る人々は、「中国人といえども、財布の紐はかなり固い」とのことだ。おそらくこの水準の人々は、上海や北京にある外国ブランドが揃う高級ショッピングモールや食材スーパーなどに顧客にも残念ながらなり得ないだろう。

爆買い 中国 給与水準

伊藤雅雄  インバウンド旅行研究家
伊藤雅雄 インバウンド旅行研究家

伊藤雅雄(いとうまさお)
大学在学中に、中国語と比較文化論、シルクロード史などを研究。卒業後、旅行代理店に就職するも、1997年の香港返還を機に、エッセイやコラム執筆、書籍制作に携わる編集者兼ライターに転向。過去25年以上にわたり、添乗や視察、取材などの目的で日本人が行きそうな外国の街のほとんどを訪れている。特に中国をはじめとするアジア各地に土地勘がある。

2007年夏より英国・ロンドンに在住。2014年からは「日本最大級の旅行情報サイト・トラベルコちゃん」のレポーターとして従事しているほか、バーチャル編集プロダクション・Watch! CLMBの編集主幹として、アジアの新興国に関する書籍の制作に携わっている。
著書に、日本を訪れる中国人観光客について論じた「中国人ご一行様からのクレームです(三修社刊)」がある。

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