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ラグビー日本代表に「ガイジン」が多いのはなぜ?


2015年8月20日

ラグビー日本代表に「ガイジン」が多いのはなぜ?
開幕まであとわずかとなったラグビーW杯イングランド大会。激戦に挑む日本代表チームに日本国籍ではない外人選手が多いのはなぜでしょうか? ライターの勝田成紀氏が日本代表における外国籍選手のあり方を語りました。
あらゆるスポーツを取材してきて、確信したことがある。
ラグビーの日本代表は、他のどの競技の日本代表よりも「多様性」にあふれたチームだ。
体格、経歴、出身国など、あらゆる個性が集っている。
ただ世間的には、その「多様性」がメンバー表のカタカナの多さばかりで語られているのが現実だ。

いわゆる「ガイジン」問題である。

2013年6月15日、エディー・ジャパンは史上初めて世界ランク5位(当時)の強豪ウェールズを23-8で下した。
しかし翌日のテレビの某情報番組で、何かと余計なことを言う某元野球選手と、ブラジル出身の某元サッカー日本代表選手が、歴史的金星をそろって「喝!」と切り捨てた。
理由は、日本代表に外人選手がいることだった。

今年のW杯イングランド大会はもちろん、2019年W杯日本大会ではさらに、この「ガイジン」問題がクローズアップされるだろう
まず前提となっているのは、ラグビーの世界各国の代表は、五輪のような国籍主義ではなく、所属協会主義に基づいているということだ。
ざっくり言えば、①本人や両親、祖父母が日本で出生しているか、②引き続き3年以上日本に居住している、のどちらかを満たせば、日本代表の資格を得ることができる。
世界最強のニュージーランド代表・オールブラックスにも、サモア、トンガ、フィジー出身の選手はゴロゴロいる。

しかしこの原則を説明したところで、違和感を覚える人は少なくないようだ。
現在エディー・ジャパンのW杯候補39人のうち、外国出身のカタカナ名の選手は12人いる。うち4人は日本国籍を持っているから、外国人ではない。
ただ、ラグビー界の外からは「ガイジン」と見られている。そんな彼らはいったいどんな選手なのか。少し紹介しておきたい。

まずはエディー・ジャパンの大黒柱、フランカーのリーチ・マイケル主将だ。
スコットランド系の父とフィジー人の母の血を引き、ニュージーランドで生まれた。
10代前半のころ、実家がラグビー留学の日本の高校生のホストファミリーだったため、日本に興味を持ち始めた。
15歳で来日し、札幌山の手高校に入学。雪の中での練習には少し戸惑ったが、花園にも出場した。
大学は「体育の教員免許を取得するため」に東海大に進学。
日本のラグビー部で練習に明け暮れ、青春の日々を費やした。
大学2年の2008年に日本代表デビューを果たし、2011年W杯ニュージーランド大会では全4試合に出場。
昨年4月に日本代表主将に抜てきされた。
今季は世界最高峰リーグ・スーパーラグビーの強豪チーフスで、主力として大活躍。
日本のラグビー部で育ち、今や世界トップレベルのプレーヤーとなった。
「自分は日本でラグビーを学んで、日本のラグビーでスーパーラグビーに挑んだ」と自負している。
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プライベートでは、東海大で知り合った日本人女性と結婚。
2013年には長女が誕生し、日本国籍も取得した。7月1日には、所属する東芝がある東京・府中市にカフェ「Cafe+64」(64はニュージーランドの国番号)をオープンした。
スーパーラグビーでプレーする傍ら、ニュージーランドで多数の賞を獲得しているバリスタに弟子入りし、コーヒー豆の歴史などを勉強。
「今なら失敗してもカバーできる。引退後に失敗すると困るので」と代表主将と実業家の二刀流に挑戦した。
早くも、高校時代を過ごした札幌店、府中2号店の多店舗展開と、「Cafe+81」(81は日本の国番号)のニュージーランド出店も目論んでいる。

次に紹介するのは、頼もしい突破役のNo.8ホラニ龍コリニアシだ。
トンガ出身で188センチ、112キロの大男だが、トンガの中学(トゥポウカレッジ)時代は吹奏楽部でトロンボーンを吹く文化系少年だった。
ラグビーを始めたのは、来日して埼工大深谷高(現・正智深谷高)に入学してから。
すぐに才能は開花し、高3時には主将にも選ばれて花園で準優勝を果たした。
埼工大を経て、三洋電機(現パナソニック)に入社。
2006年にトンガと日本のハーフ女性と結婚し、翌年の長女誕生を機に日本国籍を取得した。
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「週刊少年ジャンプ」を愛読して、もう15年になる。発売日の月曜日に彼の姿を見かけると、たいていジャンプを手にしている。
ただ、代表の宮崎合宿ではホテル周辺にコンビニがなく、練習漬けでなかなか買い物に出かける暇もない。
「月曜日にジャンプが買えないっすよ。誰かが街に出かけた時に買ってきてくれるんですけど、水曜日になったりする。月曜日にワンピースが読みたいんですけどね。」と悩む姿は、完全な日本人だ。

今回のW杯には、並々ならぬ決意で挑む。
2011年W杯では、初戦のフランス戦の開始直後に右膝前十字靱帯を断裂し、代表離脱を余儀なくされた。
「前回は病院のベッドの上でテレビを見ていた。今度こそ全試合に出場したい」との思いは強い。
また、代表デビュー間近だった弟の龍シオアペラトゥーが、胸部の負傷のため、先月29日の代表3次候補発表でメンバーから外された。
W杯に出場すれば、史上初の兄弟同時出場となるはずだった。
「残念だけど、(緊急招集される)準備だけはしておけと伝えてあります」と語った。
腕に「大和魂」のタトゥーを刻んだ男は、46kgの重りを腰からぶら下げて懸垂を繰り返すけた外れのパワーで、日本のために体を張る覚悟だ。

「ガイジン」問題について、忘れられない言葉がある。
2011年W杯で代表主将を務めた菊谷崇は、「日本代表に外国出身選手が多いでは」との問いに、こう答えた。
「じゃあ、みんな髪の毛を黒くしたほうがいいんですかね? ガイジンと呼ばれる彼らは、家族からも離れて3年以上、日本代表に入りたいと思ってプレーしてきたんです。そういう彼らの思いも分かって欲しいです」
いつもの柔和な笑顔が、少し悲しそうな表情に変わっていた。

原則として、一度ある国の代表になれば、別の国の代表になることはできない。
桜のジャージーを着た「ガイジン」選手たちは、母国の代表の座を捨てて日本を選んでいるのだ。

もちろん、冒頭に挙げた某情報番組の「喝」を、真っ向から非難するつもりはない。
ただ、エディー・ジャパンの外国出身選手たちが、プロ野球やJリーグの「助っ人外国人」と同様に論じられているとすれば、残念でならない。
リーチ主将は言う。「みんなが同じ目標に向かって、同じ気持ちで練習をして、日本のために一生懸命に頑張っています。これが日本のラグビーカルチャーです」
出身地がどこであろうが、桜のエンブレムに対するプライドは同じだ。
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「桜のジャージを背負うことに誇りを持って、全力でプレーする」
日本国籍の選手も外国籍の選手も気持は同じですね。
そんな日本代表を我々も誇りを持って応援しましょう!

文・写真 勝田成紀氏=1972年、滋賀県生まれ。東京外大卒。1998年、報知新聞社入社。2010年からスポーツ報知のラグビー担当となり、2011年W杯などを取材
記事提供:イーマトラベル

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担当:松本

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