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中国の飛行機はちゃんと飛ばない?


2015年7月25日

中国の飛行機はちゃんと飛ばない?
飛行機の運航で、安全性と並んで気になるのは「スケジュール通りに飛ぶかどうか」という問題。中国の飛行機の運航状況はどんな感じなのでしょうか?

飛行機は「ちゃんと飛ばないもの」だった80年代の中国

 中国では1980年代の後半、外国人旅行者を積極的に受け入れ始めた。このころのフライトは、機材がそもそも少なかった上に地上設備が貧弱で、天候が悪くなるとすぐにキャンセルや長時間の遅延を引き起こしていた。しかも、いったい何時間遅れるのか、出発の見通しがあるのかないのかさっぱりわからない、という事情で、ただ延々と待たされたりもした。だから、定刻に飛ぼうものなら「すごく運が良い」と言われたものだった。機材が近代化し、空港の設備も世界水準に達するなど、当時とは事情が大きく変わっているにもかかわらず、中国通の先輩社員などからその頃の昔話を聞かされた結果、「中国の飛行機は遅れるもの」と刷り込まれているような気がする。

飛行機が多すぎて遅れる?

 さて、実際の運航状況を統計で見てみよう。航空行政を司る中国国家民航局がまとめた「2014年全国民間航空便運行効率報告」によると、中国国内線の定時運航率は2014年に68.37%と前年から4%落としている。これは、運航便数が増えているにもかかわらず、空港や空域管制の処理能力が追い付いていないことが要因のひとつ。搭乗が完了しドアが閉まったのに、機体が動き出すまでの時間が異常に長いのは「空域が混んでいる」ため。実感ベースではあるけれど、こういった「乗ってもなかなか飛ばない」フライトが増えている。そのため、夕食後の夜遅い便に乗った時などは、「座って一眠りして、目が覚めたらまだ地上にいた」ということもしばしば。つまり、飛びたい飛行機が多すぎて出発が遅れてしまうのだ。
 ところが中国の場合、最も大きな遅延原因は「航空会社自身の問題」であると指摘されている。これは、機材繰りや故障、乗務員のやりくりの遅れなどが含まれ、「搭乗時刻に間に合わない旅客がいた」という原因による遅れはこの数字には入っていない。
 中国のメディアによると、定時運航率が諸外国に比べ低い理由について「少ない機材でギリギリの機材繰りスケジュールを組むあまり、一度どこかで遅れると、その遅延分を取り返すことができないため」と説明している。なお、日本の大手2社の定時運航率はいずれも85%を超えている。

 遅れの原因は80年代の頃と比べ、まったく様変わりしているとはいえ、乗客から見れば「定時運航ができていない」ことには変わりはない。空域が混んでいるのが遅延の大きな理由だとすると、抜本的な対策を講じるのはかなり難しそうだ。軍用に使われている空域を民間機に開放するのか、新しい航空路を開拓するために地上設備の増強を進めるのか、問題解決には時間がかかりそうだ。

中国 航空会社 航空機

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