欧州で現地番号の携帯電話を使用する
2015年10月17日
EU各国では、プリペイドのSIMカードが普及しており、短期滞在者でも比較的簡単に購入できます。
欧州のプリペイド携帯の実情
プリペイド契約は、収入が少ない若年層やあまり携帯電話にお金をかけたくない人、短期滞在でとりあえず連絡手段を確保したい人などに人気です。大手通信キャリアだけでなく、MVNO(仮想移動体サービス事業者)と呼ばれる電話回線のインフラを他社から借り受けて事業を展開している会社もあります。欧州で有名なMVNOとしては、レバラ(lebara)、ライカモバイル(lycamobile)などがあります。いずれもスターターキットに当たるSIMカードが街のタバコ屋、新聞スタンドのような場所で売られています(実際には、SIMカード本体は無料でその場で適当額をチャージするとカードとともに渡されます)。
国によっては、端末とSIMカードをブリスターパックに入れて販売。普通のスーパーでこういったパッケージが買えてしまったりもします。また日本と違い、プリペイドSIMカードの購入に身分の確認で煩わしいこともありません。一部の国ではパスポートの提示を求められることがある程度です。
実際に欧州で使用してみる
端末は「日本で事前調達すべき通信デバイス」の項目でも書いたように、日本でSIMフリーの機器をあらかじめ調達しておくと良いでしょう。SIMカードを装填すれば、難しい設定をすることなく、所定の電波がつながれば電話として使用できるようになります。
キャリアによっては、SIMカードに書かれたコードの入力を要求されるので、間違えのないように入れましょう。その後パソコンでキャリアのホームページに行き、名前、メールアドレス、住所、パスポート番号などをスターターキットに記された電話番号とともに入力します。URLはもちろんキット内の書類に記載されています。
やがて登録完了のメールか接続完了のメッセージが届きます。これで晴れて端末を使うことができます。また、入会特典で数十分の無料通話サービスが付いてきたりしますので、忘れないうち案内に従ってチャージしておきましょう。
もしSIMカードのチャージが無くなってしまったら、通信会社のウェブサイト経由でクレジットカードを使って追加するか、タバコ屋さんやコンビニなどでバウチャーを買って追加します。レジで残高追加をしたい旨を伝え、渡されるバウチャーの16けたのコードを端末に打ち込むだけです。打ち込み方はキャリアによってさまざまなので、ホームページの解説もしくはスターターキットの解説をよく読みましょう。
またスマホなどの端末をインターネットに接続するためにAPNなど接続先サーバーの情報を入力しないといけない場合もあります。そういった意味でも説明書はしっかり読みましょう。
SIM購入国以外での使用
EUの行政機関である欧州委員会は、EU域内での携帯電話ネットワークのローミング利用手数料廃止に向けて動いています。例えばドイツに住んでいる人が、EUの別の国に行った際も、携帯電話の通話、ショートメッセージ(SMS)、インターネットの接続について、契約した国でのプランに従って一時滞在先でも利用できるようにしようという施策です。EUの基本原則は「域内のモノ・カネ・ヒトの移動を自由とする」というものなので、その動きを促進しようといった側面があります。2015年秋現在(予定では2016年4月末まで)の居住国外でのローミング料金は、通話発信が1分につき0・19ユーロ、着信が同0・05ユーロ、データ通信が1MB当たり0・20ユーロ(1カ月の上限は50ユーロ)などとなっています。また、国外でチャージがなくなってしまった場合は、ウェブサイト経由で追加することになります。
日本で使っている端末を使用した場合
EU内で携帯を契約していれば、前述のような格安料金でローミング通信が可能です。しかし欧州旅行の際に手持ちのスマホや携帯電話を日本で契約しているキャリアのSIMカードで接続した場合、高額な国際ローミング料金が課せられます。ただでさえ何かとお金がかかる海外出張や海外旅行。どうにかして日本から持って来た端末を使って、欧州で安く通信デバイスとして使う方法はないでしょうか。
ひとつの案としては、欧州での滞在中は常に機内モードにしておけば電話は受け取らずに済みます。ちなみに日本からの着信は1分180〜300円がかかります。その上で、無料のWiFi回線か、日本から持ち込むレンタルのワイヤレスルーターを通じて、メールやネット電話、SNSなどに繋ぎましょう。そうすれば、極端に高価な通信料を払うことなく、欧州でのネットでのやり取りが可能となります。