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世界中の熱きベテランラガーの祭典『ゴールデン・オールディーズ』


2016年9月5日

世界中の熱きベテランラガーの祭典『ゴールデン・オールディーズ』
35歳以上のベテランラガー達による、国際アマチュアラグビー大会『ゴールデン・オールディーズ』。今年はウェールズのカーディフで盛大に行われました!
8月21日から28日までの一週間、イギリス・ウェールズ地方のカーディフで、第21回ゴールデン・オールディーズ という、35歳以上のベテランラガー達による、国際アマチュアラグビー大会が開催された。18ヵ国から100チーム以上が集まり、プレーヤーとその家族、友人などの参加者数はここ数回は毎回数千人単位を数える。アマチュアスポーツの大会としてはかなり大規模に行われている大会である。主幹事ともいうべきスポンサー企業は、ご存じラグビー王国 ニュージーランドのナショナル・フラッグ、ニュージーランド航空。

今回、私はロンドンに移住してきてからの10年間プレーしている、ロンドンジャパニーズ(通称;ロンジャパ)の渥美先輩の繋がりで、不惑クラブ、迷惑クラブ、法政大学OB、の合同チームに飛び入りで参加させて頂いた。相手チームは、オーストラリアから参加のチーム。選手としての参加資格の35歳は余裕でクリアしているので、選手兼ライターとしてレポートしてみたい。

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グランドへはキックオフぎりぎりの時間に到着し、「ポジションはどこでもいいので、誰か疲れた人が居たら交代させて下さい」という形で合同チームのベンチに入れて頂く。早速、お疲れになった先輩が交代要員を求めていたので、出場の機会が回ってきた。フランカー(スクラムの三列目)の位置に入り、様子を伺う。マイボールスクラムだったので、攻撃のボールを追って走り、パスを受け取る。目の前には誰もいない。全力疾走にならずも誰にも追いつかれない程度の速さで走りながら、味方のサポートプレーヤーを探していると、審判が笛を吹いた。

41歳の私は、10メートル以上ボールを持って走ってはいけない。

ゴールデン・オールディーズの試合中のルールは、短パンの色で分けられている。諸説あるが、基本的に35~50歳までは白短パン。50~65歳までは赤短パン。65~70歳は金短パン。70歳以上は、紫短パン。紫短パンの先輩達は、もはや妖怪レベルだ。
なるほど。白短パンの若僧(注:私は実は青短パンをはいてきたが、当然白短パン選手として扱われる)は、ボールを持って10メートル以上走ってはいけない、というルールがあるようだ。こうしたゴールデン・オールディーズ独自のルールに違反した場合は、相手チームボールのペナルティーとして試合が再開される。

そしてこの白短パンの選手へは、一応 ”フルコンタクト” (ラグビーのルール内で本気でぶつかり合うこと) が出来るルールだが、そもそもプレーが全力疾走にならないので、あまり激しいコンタクトプレーにはならない。試合中、私は合同チームの自陣ゴール前で巨大な白短パンの選手に後ろから追い付いたので、足を取って倒し、ボールがノックオンされてプレーが止まった。全力でタックルした訳ではないが、自分より大きな選手を後ろから止めようとすると、足を取るなどしてそれなりに激しくコンタクトしなければならない。
「ナイスタックル」と言って相手チームの巨漢が、グランドで倒れた状態から手を差し伸べてきた。その顔には、いいタックルをして倒したのだから、当然手を貸して起こしてくれるだろ、という笑顔があった。勿論、私も「当たり前だろ」という顔で笑顔で手を貸した。これが白短パン選手とのグランド上でのコミュニケーションか。

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50歳以上の赤色短パンの先輩へは、タックルをすることは許されず、“ホールド” (肩などを強く当てて倒しに行く通常のタックルではなく、上半身を捕まえて自由に走れない程度でお互いに止まる、という練習中のルール。ラグビー選手間での、”寸止め” に相当)。しかしながら、上半身を捕まえた状態から、あまり激しくボールを奪いに行くようなプレーは、よろしくない。私自身、試合中に一度赤短パンの先輩を捕まえた体勢から、気が付けば若干激しめにボールを奪いにいってしまい、「おいおい、おれは赤パンだぜ!」と注意を受け、「すいません!」と言って慌てて手を放した場面もあった。当然、ここで素直に手を離せば審判もうるさいことは言わずにプレーを続行させる。

金色短パンの先輩へはホールドすら許されず、体が軽く接触する位すぐ横を走って軽くプレッシャーをかける、軽くタッチする、走るコースを体を使って軽く邪魔する、程度のディフェンスが可能。自分がボールを持っている時の金色短パンの先輩へのコンタクトも、これに準じるものとする、という感じ。

更に凄いのが、紫短パンの70歳以上の先輩たち。彼らはもはや神レベル。一切のコンタクトプレーは許されず、「好きなようにさせてあげなさい」というのがルール。
ここで私の試合終了直前の、最後の相手チームのプレーヤーとのコミュニケーションは、紫短パンの大先輩だった。
「子供の頃にプレーし始めたラグビーを、こうやって爺さんになって終わりにするんだ。覚えているか、近所の公園で毎日ラグビーボールで楽しく遊んでいた日々を。」

点数はよく分からないが、合同チームの勝ち。しかしながら、勝負の他にも素晴らしい輝きが随所に見られる、素晴らしい試合だった。

ここでふと、有名なラグビー格言を思い出した。

「ラグビーは少年を一早く男にし、男をいつまでも少年でいさせる」

試合後の夜は、合同チームでの食事会にご一緒させて貰い、41歳にして完全に若僧扱いされ、御馳走してもらった。
この席では、ラグビーを通じて得た数多くの忘れられない思い出、この大会、ゴールデン・オールディーズに賭ける想い、などベテランラガーらしい熱いお話を色々と聞かせて頂いた。
(文:竹鼻 智)

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最後に:
不惑クラブ、迷惑クラブ、法政大学OBチームの皆さん、2年後の大会でまたお会いできることを楽しみにしています。ありがとうございました!
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