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巣内尚子(すないなおこ)
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ベトナムのいま(13) ベトナム航空を追い上げるLCC、誰でも飛行機に乗れる時代は来たのか?


2015年12月8日

ベトナムのいま(13) ベトナム航空を追い上げるLCC、誰でも飛行機に乗れる時代は来たのか?
ベトナムで今、格安航空会社(LCC)の展開が拡大している。ベトナム航空が圧倒的な強さを誇ったが、最近ではLCCがシェアを伸ばし、航空市場の勢力図を変えているのだ。

LCC2社がシェア伸ばす

ベトナムで今、格安航空会社(LCC)の展開が拡大している。これまでベトナムの航空市場では国営のフラッグシップキャリア、ベトナム航空が圧倒的な強さを誇ったが、最近ではLCCがシェアを伸ばし、航空市場の勢力図を変えているのだ。
ベトナム民間航空局(CAAV)のまとめでは、2015年の1~10月のベトナム航空の国内航空市場のシェアは47.6%となり、シェア首位となった。しかし、前年同期の56.6%からは低下した格好だ。(2015年11月21日付トゥオイチェー電子版)
これに対し、LCCのベトジェット航空のシェアは35.7%となり、前年同期から6.9%のプラスを確保している。同じくLCCのジェットスター・パシフィック航空もシェアが前年同期比1.9%伸びて14.9%になった。
また1~10月のベトナム航空の取り扱い旅客数は1,460万人で、前年同期から9.3%増加した。ただし、取り扱い貨物量は14万8,000トンとなり、4.1%のマイナスとなった。
これに対し、ベトジェット航空は取り扱い旅客数が740万人とベトナム航空の半分程度なものの、前年同期からの伸び率は66.1%のプラスとなった。取り扱い貨物量も前年同期比42.6%増の3万8,000トンに増えた。
またジェットスター・パシフィック航空の取り扱い旅客数は約320万人となり、前年同期から54.5%拡大した。取り扱い貨物量も57.1%増の1万2,000トンとなるなど、LCC2社は旅客、貨物共に2桁の伸び率を確保している。

世界で7番目に早い成長度

IATA(国際航空運送協会)は昨年、ベトナムの航空市場は2013~17年に、年間6.9%のペースで成長するとの予測を提示した。これは世界で7番目に早い成長率だという。(2014年9月1日付トゥオイチェー電子版)
こうした伸びは、国内航空市場で首位のベトナム航空によるものだけではなく、価格に強みを持つLCCのベトジェット航空とジェットスター・パシフィック航空の事業拡大にも後押しされたものと言えるだろう。
欧州やアジアではLCC各社の展開が広がり、LCCの利用は一般化している。ベトナムでも、経済成長に伴う航空需要の伸びを受け、LCC各社が事業を広げている状況だ。これに伴い、空の旅を楽しむ人が増えていることだろう。
また注目されるのは、LCCは旅客だけでなく、貨物もとり扱っており、交易面でも各地域を結んでいることだ。さらに航空部門の拡大は地元に雇用を創出し労働者に働く場を提供するとともに、国の経済の伸びを後押しするとみられる。
これまでベトナムでは、チケット代の高い飛行機に乗ることは特別なこととされてきたが、こうした状況はベトナムの多くの人々に飛行機の旅を提供することにつながっているのだろうか。
ベトナムは急速な経済成長とそれに伴う所得の伸びを経験している。ただし、それでもまだまだ貧困問題は残るほか、医療、教育、道路といった各種社会インフラの整備にも課題が残る。経済成長の恩恵を受けた人と、そうでない人との経済格差も広がっており、日々の生活で経済的課題を抱え飛行機に乗ることを考えられない人もいる。
その中で、経済成長と足並みを揃える航空市場の伸び、これらによる各地域間の交易拡大と人的交流の広がりは、ベトナムの人々の暮らしをどう変えるのだろうか。誰でも飛行機に乗ることができる時代。それはベトナムにとってすぐそこの未来なのか、あるいは遠い先のことなのか。

ベトナムのLCC

巣内尚子(すないなおこ)
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