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巣内尚子(すないなおこ)
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ベトナムのいま(10) ベトナム人移住家事労働者がサウジで窮地に、出稼ぎブームの功罪【前編】


2015年11月30日

ベトナムのいま(10) ベトナム人移住家事労働者がサウジで窮地に、出稼ぎブームの功罪【前編】
サウジアラビアに家事労働者として送り出されるベトナム人女性が増えていますが、解決すべき課題は山積のようです。
月給は700万~1,000万ドン(約3万8,232~5万4,617円)の良い仕事がある――。こうした文句に引き寄せられ、サウジアラビアで家事労働者として働くベトナム人女性が増えている。中でも、農村部出身を中心にサウジアラビアで家事労働者として就労する女性が出てきている。一方、サウジアラビアでの就労をめぐっては課題も指摘されており、中には厳しい状況に置かれているベトナム人女性もいるようだ。

移住労働者送り出し政策

約9,000万人の人口を抱えるベトナムではこのところ、政府が積極的な移住労働政策を打ち出すとともに、移住労働を仲介する業者の動きが活発化するなどし、海外に多数の労働者が送り出さている。
就労先は台湾、韓国、日本、マレーシアなどが多いが、他にも中東諸国なども含め多数の国にわたる。職種も工場労働のほか、「メイドさん」や「お手伝いさん」といわれるような家事労働者も少なくない。
そんな中、最近ではサウジアラビアで家事労働者として就労するベトナム人女性が出てきているのだ。

多数の外国人労働者が働くサウジ

サウジアラビアは人口が2937万人。一方、サウジアラビアは労働者確保に向けた政策として外国人労働者の受け入れを進めてきた経緯があり、同国の人口における自国民の割合は73%、外国人は27%となっている。外国人の出身国はアジア諸国20%、アブラ諸国6%、アフリカ諸国1%、欧州諸国1%と、アジア出身者が多数暮らしている状況だ。(1)
とりわけ、外国人労働者の中には、家事労働者として就労するアジア出身の女性たちが少なくない。

家事労働者を取り巻く課題、虐待や死刑判決

しかし、サウジアラビアでは、外国人家事労働者が雇用主に虐待されたり、外国人家事労働者に対する死刑判決が出たりするなどの事例が相次ぎ、国際的な問題になっている。東南アジア地域でフィリピンと共に、移住労働者の一大送り出し国となっているインドネシアのように、サウジアラビアへの労働者送り出しを見直す動きをみせている国もある。また、移住労働者の保護活動行う団体もサウジアラビアの状況に抗議したり、警鐘を鳴らしてきた経緯がある。
一方、ベトナムはこうした前例がある中で、サウジアラビアとの間で移住労働者の送り出しに関する合意文書を締結し、以降、正式に労働者を送り出し始めた。(中編に続く)


(1)外務省、2015年11月28日閲覧。http://www.mofa.go.jp/mofaj/area/saudi/data.html
タイトル写真:ハノイ市内で働く女性。ベトナムでは女性の大半が働き、中には海外で家事労働者として就労する人もいる。(筆者撮影)

ベトナム人の出稼ぎ

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