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在英日本人ラガーマンが見た、日本vsスコットランド戦


2015年9月24日

在英日本人ラガーマンが見た、日本vsスコットランド戦
あの南ア戦での大金星から、たった中三日で迎えたスコットランド戦。「完全アウェーか?」と言われた試合でしたが、決してそうではありませんでした。ロンドンジャパニーズ所属の反町雄輔さんのリポートです。
南アフリカ戦の勝利から、ラグビーというスポーツが興奮の中に包まれた数日間であった。
その興奮は、おそらく、日本において、ラグビーという単語が、ここ10年間で最も多く話された数日間であり、ラグビーの事を好きでプレーや、フォローすると言った形で関わってきた方々には、特別な、記憶に残るものだったのではないか。

そのような状況で迎えた、スコットランド戦。
興奮冷めやらぬ、つまり、選手にとっては、精神的な部分では充実していたであろうが、肉体的な部分は、これまで、この中3日での試合を想定した練習試合・トレーニングを積み重ねてきた選手たちだが、実際の回復具合は、我々には今日の動きから想像しかできない。
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「W杯史上、最高のゲームだった。よくやった、エディー・ジョーンズ!」
▲場内に出た、2003年大会イングランド優勝時のウッドワード監督のメッセージ▲

ジャパンの応援団、なんと3割も!

戦前は、日本代表は完全アウェイの状態になってしまうのではないか、と感じていたが、直前になり、イングランドとスコットランドの関係や、グロスターのプロリーグのチームのジャージが日本代表と同じ赤白ボーダーという事もわかり、どのような、観客構成になるのか、正直わからなかったが、実際は、ジャパン3、スコットランド7、と言ったところだったか。

試合開始前から、会場は、独特の雰囲気が流れていた。
スコットランド人のサポーターが、どことなく、緊張しているのが、伝わった。

これは、後に、スコットランドが決定的なトライを決めた時に、爆発的な歓声が出てきた事でわかったのだが、前半の拮抗状態の中、彼らスコットランドサポーターは、いつもであれば、スコットランドラグビーの聖地エジンバラのマレーフィールドで聞かれる、「スコーットランド!スコーットランド!」の地響きに近い大合唱も、自然発生してはまとまらない内に消え、どことなく「よそ行き」な状態で観戦・応援しているのが感じられた。
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▲こんなに元気な日本サポーターはW杯史上例がないことだった▲

どこで勝ち負けが分かれたのだろうか

勝敗の分かれ目はいくつかあったのであろう。
マイケルリーチ主将のハイパント(高く蹴りあげたボール)の処理。ブライトンのスタジアムよりも、風の影響が本当に強かったのは、両試合観戦したので、わかる。(もちろん、風など関係ない、というコメントもあり)

五郎丸選手の、ペナルティキックの成功・不成功。これも、チームに勢いがある時は、終わってみてからの結果論になるケースが多い。(もちろん、決めるに越したことは無いが)
松島選手の一時退場、序盤のスクラムが崩れた際にペナルティを取られた事など。

勇敢に戦ったエディージャパンの選手達

しかし、あまり余って、ジャパンは勇敢な戦いをした。
ペナルティゴールでスコアを重ねたスコットランドを、ゴール中央でのモールからのトライで、一気にスコアを縮めるジャパン。スコットランドファンが大勢を占める会場を、やはり、ジャパン強し、の雰囲気が覆う。

冷静な連続攻撃、また、スコットランドの連続攻撃に対しての冷静な対処。
また、日本人サポーターの「ニッポンチャチャチャ!」、私の南アフリカ戦に続き振り回した会場で最も大きな日の丸(笑)、赤白ジャージを纏ったグロスターファンの「カモーンジャパーン!」は、選手との距離がとても近いKingsholmスタジアムでは、間違いなく、ジャパンの選手たちに届いていただろう。

会場のほとんどの観客が、両腕を高く上げ、歓喜に叫んだ瞬間、飛び込み、トライを死守した、五郎丸選手のタックルに、会場は静かなまま前半を終えた。
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▲こんなに近いピッチはグロスターならでは。声援は彼らの耳にしっかり届いていたに違いない▲

前半終了時 7-12

ついにスコットランドサポーターの喜びが爆発

そんな中、後半の半ばとなり、スコットランドが、30点台に乗せるトライを決めた瞬間、会場は爆発した。
私も、今日は、こんなにスコットランドのファンがいたんだ、と驚いたくらいであるから、いかに、それまで、彼らが、感情を出せない状態が続いたかが分かるものだった。
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▲両手を挙げているのはスコットランドのキャプテン、レイドロー▲
実はグロスターのキャプテンでもある。

最終スコアは、10-45

試合後、リスペクトされた日本のサポーター達

皆さんは、南アフリカ戦の後に様々な記事を読まれているだろう。
敗戦した南アフリカのサポーターから、敬意を持って接してもらったこと。
ラグビーには勝ち負けがあるけども、試合が終われば、グランドを出れば、そこには今日の敵に敬意を払い、Socialな関係となる。

本日のスコットランド戦も、全く同じ。

「今日は、60分間、本当にドキドキしたよ!!南アフリカ相手に、あれだけ素晴らしい試合をやったんだから、本当にビビッてたんだから!!」

「がっくりするなよ。あれだけ南アフリカにAmazingな試合をしたんだ。さすがに、今日は後半皆、疲れてたじゃないか。次のサモア、アメリカには絶対勝てるよ!!」

「お前たち(君たち)、日本人サポーターの応援のパワーは素晴らしい!」

「ジャパンは素晴らしいゲームをした。ただ、皆、土曜からの疲れが残ってたのは、さすがに、きつかったね。俺たちは、きっと南アフリカには勝てないから」

こんな調子で、来る人来る人、南アフリカ戦の試合後と同じように、肩を抱き、声を掛け合う時間が続いた。
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▲グロスターでは、スタンドの半分以上が「立ち席」▲

サポーターにとって「夢の日々」はまだ続く!

この数日間、本当に夢みたいだったけども、全てはうまくはいかない時もあるよな、と。
ハードワークを積み重ねてきたジャパンを信じ、きちんと1週間強、体を休め、サモア・アメリカから勝ちをもぎ取り、エディー・ジョーンズ・ヘッドコーチが言っているように、「一回勝つために、ワールドカップに来たんじゃない」というところを、選手を信じ、サポートしたい。

2015年のワールドカップは、まだ終わっていない。それに、今大会が終わろうと、これまで溜めてきたエネルギーで、ブライトンで大きく燃えさかった日本ラグビーの火は、2019年という大きな時まで燃え続けるのだから。
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